【来週の注目材料】強め続く米雇用もさすがに一服か
8日に2月の米雇用統計が発表されます。
前回の雇用統計では非農業部門雇用者数が市場予想の前月比+18.7万人に対して、+35.3万人と驚きの増加を見せました。
1月分は季節調整のベンチマーク変更などがある為、過去値を含めぶれが生じやすくなっていますが、
10月分が+10.5万人から+16.5万人、11月分が+17.3万人から+18.2万人、12月分が+21.6万人から+33.3万人に
それぞれ上方修正されており、総じてかなり強いという印象になりました。
失業率は1月と同じ3.7%、市場予想は3.8%への悪化でしたのでこちらも強い数字。
就業者数が12月と比べて3.1万人減少したものの、失業者数が14.4万人の減少となっています。
平均時給は前月比+0.6%、前年比+4.5%と、12月の+0.4%、+4.3%を上回る伸びとなりました。市場予想は+0.3%、+4.1%と伸び鈍化見込みとなっていましたので、こちらも強めの数字です。
内訳をみると、幅広い業種で雇用が増加。すそ野が広く注目度の高い製造業が+2.8万人と堅調な伸びを示したほか、景気に敏感で雇用の流動性も高い小売業と運輸・倉庫業が+4.5万人と+1.6万人とともに堅調な伸びを示すなど、内訳も好印象を与えるものとなっています。
関連指標を見てみましょう。
週間ベースの新規失業保険申請件数は、調査対象期間の重なる12日を含む週の数字が1月の18.9万件に対して、2月は20.2万件と少し悪化しました。
1日に発表された2月の米ISM製造業景気指数は47.8となりました。16カ月連続で好悪判断の境となる50を割り込みました。市場予想は49.3と1月の49.1から小幅改善となっていましが、予想外の悪化です。内訳のうち、前回はかなり好調で全体の伸びを支えた新規受注、生産がともに大きく低下。好悪判断の節目となる50も割り込む49.2と48.4となりました。前回弱めに出た雇用はさらに低下し45.9となっています。
2月27日に発表された2月の米コンファレンスボード消費者信頼感指数は、106.7と市場予想の115.0を大きく下回る弱い結果となりました。1月の数字も114.8から110.9に大きく下方修正されています。雇用部門の数字も十分であるという回答が42.7%から41.3%に低下、職を得るのが困難であるとの回答が11.0%から13.5%に悪化と厳しい数字となりました。
その他今後発表される関連指標について、5日(日本時間6日午前0時)の2月ISM非製造業景気指数の市場予想は52.9と1月の53.4から小幅悪化見込みです。6日の2月米ADP雇用者数は前月比+15万人と1月の+10.7万人から小幅上昇見込みとなっています。
そうした状況を踏まえ、今回の市場予想です。非農業部門雇用者数が前月比+19.0万人と前回の35.3万人から伸びが大きく鈍化見込みです。失業率は3.7%で1月と同水準見込みとなっています。
非農業部門雇用者数の伸びは大きく鈍化ですが、水準的に19万人増加は低いものではありません。直近2回の+33.3万人、+35.3万人の反動を考えると堅調さを維持しているといえます。ただ、数字的には大きな鈍化という印象がどうしても出るだけに、予想前後もしくはそれ以下の伸びとなった場合、ドル売りが入る可能性があります。
MINKABU PRESS 山岡和雅
みんかぶ(FX)