18日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが3.96%台まで上昇したことで143.16円まで上昇した。ユーロドルは、ユーロクロスの上げにつれた買いと米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いで方向感が出なかった。ユーロ円は156.31円まで上値を伸ばした。
本日の東京外国為替市場のドル円は、植田日銀総裁のチャレンジング発言を受けて昨年12月の日銀金融政策決定会合の再現に警戒する展開が予想される。
今月6日の氷見野副総裁による大規模な金融緩和政策からの正常化への言及と、7日の植田総裁による年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる、との発言により、日銀ショックの再現の可能性が高まっている。
昨年12月19-20日の日銀会合では、金融緩和政策の修正が決定され、日銀ショックが市場を襲った。すなわち、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)で0%程度に誘導している長期金利(10年国債金利)の上限と下限を従来の「0.25%程度」から「0.5%程度」に拡大された。
当時のドル円の動きを振り返ると、高値137.48円から安値130.58円まで約7円急落。最終的には、今年1月16日の安値127.23円まで約10円下落していった。
今回も、昨年同様の日銀ショックが再現された場合、142円台から135円程度までの急落を警戒すべきかもしれない。ドル円のテクニカル分析では、エリオット波動での最終第5波動となる「斜行三角形」が完成しており、目標値137.25円が点灯している。
想定される金融政策正常化の道筋としては、「必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる」というガイダンスが削除された場合。そして、植田総裁がチャレンジング発言で示唆していたように、マイナス金利の解除が議論された場合となる。
日銀の金融政策予想を反映するオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場では、来年1月の会合での利上げ確率が一時約4割まで高まった。
一方で、11日の報道「日銀関係者は、賃金と物価の好循環の実現に向けた十分な確証が得られていないため、マイナス金利やYCCの撤廃などを今月急ぐ必要はほとんどないとの認識」を裏付ける現状維持となった場合、ドル円は6日高値圏の147円半ばまでの上昇が予想される。
個人消費は7-9月期の実質国内総生産(GDP)での2期連続減少を踏まえて、従来の判断「物価上昇の影響を受けつつも、緩やかなペースで着実に増加している」が維持されるのか、変更されるのかに注目しておきたい。
また、自民党の派閥による政治資金パーティー収入の裏金化問題を受けた政局混迷が、本日の日銀の金融政策に与える影響も警戒されている。緩和重視の安倍派の勢力が低下していることで、日銀の自由度が高まる可能性、あるいは、政治の混乱の最中には景気への影響が大きい金融政策正常化の判断は避けられる可能性が指摘されている。
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