ただ、ウクライナ側がこの発言を否定したことや、この日のミシガン大消費者信頼感指数で米消費者のインフレ期待が1981年以来約40年ぶりの水準まで高まっていたこともあり、米利上げ期待が高まっている。来週はFOMCが予定されているが、利上げ開始が確実視されている。市場からは、その後もFRBは利上げを続け、年末までには1.75%-2.00%までの利上げも可能性がないわけではないとの見方も出ている。0.25%ずつであれば、3月を含めて、年内の毎回のFOMCで利上げを実施する計算になる。
日本企業の年度末をにらんだ買いも観測されていたようだが、ドル円はきょうの上げで115円台での膠着から、更なる上値追いにレベルシフトした兆候も出ている。それは大きな心理的節目の120円を視野に入れた動きを意味するが、そのうえでも来週以降の動きが注目される。
ユーロドルはNY時間に入って再び戻り売りに押され、1.09ドルちょうど付近まで一時下落。ロンドン時間にはプーチン大統領の発言もあり、1.1045ドル付近まで急速に上昇していた。ただ、市場は米インフレと利上げを警戒したドル買いが根強く、ユーロドルは次第に上値が重くなった。
市場からは、ウクライナ危機にもかかわらず、ユーロ圏の成長は維持されるとの楽観的な見方も出ている。要因としては、ユーロ圏と英国は米国よりもパンデミックから立ち直る余地が大きいこと、ユーロ圏は地中海沿岸で夏の観光シーズンを好調に過ごせる可能性が高いこと、製造業の供給制約が最終的に緩和されれば、製造業が盛んなユーロ圏加盟国に恩恵をもたらすことなどを挙げている。なお、ウクライナ危機は世界中に影響を及ぼすが、遠く離れた米国は欧州よりは遥かに影響が少ない。食料品やエネルギー価格の上昇は、米個人消費にも打撃を与えるが、エネルギー価格高騰は再び米国のシェールへの投資増加につながる可能性があるとも付け加えた。
ポンドドルは1.31ドル台を回復する場面もみられていたが、ドル買い優勢の雰囲気が続く中で、1.30ドル台前半に下落。
きょうは1月の英月次GDPが発表され、前月比プラス0.8%と予想以上の回復を示した。市場からは、今回の数字は来週の英中銀金融政策委員会(MPC)での連続利上げを後押しするとの声も出ている。12月はマイナス成長を記録していたが、急速な回復を示した格好。英経済が直面している短期的なインフレ圧力に加え、今回の予想を上回る月次GDPは、短期的には英中銀が成長よりもインフレ抑制に注力する可能性が高いことを意味するという。3月、5月、6月に連続で0.25%の利上げを見込んでいるようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美