今週はドル買いが復活し、ドル円も一時137円台まで戻している。ただ、FRBの利上げサイクルもある程度見えてきた中で、金利差に着目した取引は以前ほど活発化していない。リセッション(景気後退)を警戒したリスク回避のドル買いが中心といったところのようだ。
来週以降、再度140円を試しに行くか注目される。ただ、以前ほどの円安のフォローがないことは留意したい。来週以降、9月末までに140円に到達する確率は55.1%程度に上昇。10月末までであれば、63.2%といったところだ。
ドルに対する活発な需要は一時期よりは後退しているものの、ドルに代わって買える通貨があるかというと、そうではないようだ。特に主要なカウンターパートである欧州通貨に信頼感がない。欧州ではガス危機、英国では生活危機が警戒される中、ユーロもポンドも買えない。日銀は全く動く気配がなく、その必要もない中で円も買えない。人民元はそもそも柔軟性がなく、信頼感のある投資対象ではない。
年末にかけて世界的にリセッション(景気後退)への警戒感が高まる中で、結局、ドルを保有して置くしかない状況ではある。景気後退に入ったとしても、米国が一番傷が浅いと見られているようだ。なお、景気後退入りの確率は40%-50%程度と見られている。
今週は7月分のFOMC議事録が公表されていた。慎重さも垣間見せるヘッドラインが流れたことから、為替市場はドル売りの反応を示したものの、FRBのタカ派姿勢に変化はなく、一時的な動きに留まっている。短期金融市場でも9月FOMCに対する見方に変化はなく、0.50%ポイント利上げの確率が60%、0.75%ポイントは40%程度で変わらずとなっている。
来週は通称ジャクソンホールと呼ばれているFRBの年次総会が開催される。26日金曜日にパウエルFRB議長のスピーチが予定されている。FRBのタカ派姿勢に大きな変化はないものと思われるが、市場では来年の米利下げ期待が台頭しており、少しでもその期待に対する何らかの手掛かりがないかを探るイベントになるのかもしれない。
◆来週以降9月30日までに各ポイントを1度でも付ける確率
()は先週末
140円:55.1%(14.5%)
139円:68.6%(21.2%)
週末終値:136.97円(133.42円)
132円:38.7%(79.4%)
131円:29.3%(65.1%)
130円:21.6%(49.9%)
◆来週以降10月31日までに各ポイントを1度でも付ける確率
()は先週末
140円:63.2%(24.8%)
139円:74.4%(32.2%)
週末終値:136.97円(133.42円)
132円:52.5%(84.6%)
131円:43.9%(73.5%)
130円:36.0%(62.6%)
※ドル円のオプション取引から算出
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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次回は9月3日(土)午前の配信を予定しています。
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