市場からは、FRBの政策転換は差し迫っておらず、ドルは堅調に推移する可能性があるとの見方も出ている。FRBが引き締め政策から脱却すると予想するのは時期尚早で、ドルが持続的な弱さに見舞われる可能性は低いという。
7月のFOMCと今週の予想を下回るインフレ指標から、FRBの政策転換への期待が一部から出ている。ただ、それに伴う急速な市場の反応は時期尚早だとしている。複数のFOMC委員は、市場の政策転換の思惑に否定的な見解を示しており、23年半ばまでの利下げは想定しておらず、FRBの引き締めを抑制するには、コアインフレの鈍化を示す証拠がさらに必要だとしている。
ユーロドルは戻り売りに押され、一時1.0240ドル付近まで下落。目先は21日線が来ている1.02ドルちょうど付近が下値メドとして意識される。トレーダーのポジションは過去1カ月間に中立スタンスにシフトしており、まとまった新規フローが入れば、その方向に動きやすい状態にあるとの指摘も出ていた。
ユーロドルはリバウンド相場の流れを継続しているが、依然としてネガティブな見方は根強く、上値では戻り待ちの売りを推奨する声も少なくない。市場環境が改善しても、リスク資産は危機を脱したとは言えないという。米インフレのピークとそれに伴うFRBの積極利上げへの期待終了はドルへの需要を後退させる可能性がある。しかし、ドルをフェードする時期ではないという。ドルはなお割安な一方、欧州経済の状況を考慮すれば、ユーロは割高で推移していると指摘している。
1.03ドル台半ばでショートでのエントリーを推奨しているようで、下値目標はパリティ(1.00ドル)だという。
ポンドドルも戻り売りに押され、一時1.21ドルちょうど付近まで下落し、7月中旬以降のリバウンド相場を維持できるか注目の局面に再び入っている。本日の21日線が1.2090ドル付近に来ており、目先の下値サポートとして意識される。
きょうは4-6月期(第2四半期)の英GDPが発表になっていた。前期比マイナス0.1%と、予想ほどでなかったが、若干のマイナス成長となった。特に6月のマイナス成長が圧迫。6月の月次GDPはマイナス0.6%となった。ただ、こちらも予想ほどの落ち込みではなかった。
英経済がすでにリセッション(景気後退)に陥っている証拠とも言えるが、エコノミストからは、景気後退というよりも、ウクライナ危機のほかに、6月のエリザベス女王のプラチナ記念日に伴う臨時休日の影響が大きかったとの見方が出ている。プラチナ記念日に伴って銀行休業日も増えていた。宿泊業や飲食業など、臨時休日の恩恵を受けた業種もあったが、大半の業種が従業員の欠勤などの影響を受けた。7月の月次GDPは急回復が期待されているが、経済の基調を正確に判断するには、やはり8月のGDPを待つべきだという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美