ロンドン市場は、ドルが全面高となっている。米10年債利回りが4.24%付近から4.29%近くまで上昇する動きがドル買いを誘引している。背景には根強い高インフレを抑制するために、年内あと2回の米FOMC会合でそれぞれ75bpの大幅利上げ観測が広がっていることが指摘される。ロンドン序盤はポンドドルの下げが主導。トラス英首相の辞任のあと、次期首相選出のための保守党党首選が急がれている。ただ、不祥事で辞任したばかりのジョンソン元首相や党首選に敗北したばかりのスナク元財務相が主力候補となっており、今後の不透明感は拭えない。来週のECB理事会で75bpの大幅利上げが想定されていることも対ユーロでのポンド売りとなって加わっている。その後はユーロドルも追随して軟化している。ドル円は150.50を上回るといったん151円手前で売買が交錯したが、ひとたび151円台に乗せると騰勢を強めて151.59近辺へと上昇。1990年7月以来の高値水準を更新している。クロス円は欧州通貨主導で売りが先行したが、ドル円の151円台乗せからは買戻しが入っており、円安相場の様相を呈している。ユーロ円は147円台後半に高値を伸ばす動き。通貨ごとにスピード感が錯綜しているが、着実にドルは買われている。
ドル円は151円台前半での取引。東京市場で150円台前半での取引が続いたあと、黒田日銀総裁が再び緩和継続姿勢を確認すると150.50レベルを上回った。ロンドン時間にはいったん151円手前で売買が交錯したが、その後151円台に乗せると買いの勢いが再燃、151.59付近へと高値を伸ばしている。1990年7月以来の高値水準を更新している。
ユーロドルは0.97台半ばでの取引。ロンドン朝方には天然ガス先物の下落を受けて0.98台に乗せる場面があったが、その後はドル高圧力に押されている。ポンドドルとともに下落し、安値を0.9733近辺に広げた。その後も上値は重い。ユーロ円は上下動。147円台乗せから147円台後半へと買いが先行も、再び147円ちょうど付近まで反落。しかし、ドル円の買いが勢いづくと高値を147.80台へ伸ばしている。対ポンドでもユーロ買いが優勢。来週のECB理事会では75bpの大幅利上げが想定されており、ユーロ相場の下支えとなっているもよう。
ポンドドルは1.11台前半での取引。ロンドン朝方に1.1220付近まで買われる場面があったが、その後は売り圧力に押されている。ロンドン中盤にかけては1.1101レベルまで下押しされた。ポンド円は168.70台まで買われたあとは168円台割れから167.70付近まで下落した。その後はドル円の買いが強まると168円台後半へと買戻しが入っている。ユーロポンドは0.8720台から0.9770台へと上昇。全般にポンド売り圧力が根強い。トラス英首相辞任で財政不安は払しょくされているが、ジョンソン氏やスナク氏など次期首相候補について市場はそれほど前向きに評価していないようだ。
minkabu PRESS編集部 松木秀明