市場からは、ドル円は日銀のレートチェックや為替介入への警戒感で予想よりも時間がかかるかもしれないが、最終的に147円以上まで上昇するとの見方が出ている。日本と海外の金利差拡大や、日本の家計が外貨預金を積み始めていることなど、いくつかの重要な要因がさらなる円安をもたらす可能性があると指摘。
現在の円安はファンダメンタルズに沿ったものであり、レートチェックや実際の介入をもってしても、円安の流れが変わることはないという。
ユーロドルも方向感のない展開を続けており、パリティ(1.00ドル)付近で一進一退。1.00ドル台に入ると、戻り売り圧力が強まる一方で下値では、ECBがタカ派姿勢を強める中、ショートカバーも出るようだ。
ただ、ユーロ圏の景気への不安感が根強く、上値での戻り待ちの売りを推奨する向きは多い。ユーロ圏はエネルギー高騰の影響によるインフレの持続的な上昇、ECBのタカ派姿勢の明確化、外需の弱体化の中で、深刻かつ長期的なリセッション(景気後退)に陥る可能性があるという。今年10-12月期から来年の4-6月期にかけて、ユーロ圏はリセッションに陥り、実質GDPがピーク時から1.7%ポイント縮小すると予想しているようだ。
その後はU字型の回復が見込まれるが、インフレは引き続き高水準のまま推移し、ユーロ圏のインフレは10-12月期に総合指数で9.3%、コアインフレで4.4%でピークに達すると予想している。
ポンドは売りが目立っており、対ドルで1.14ドル台に再び下落しているほか、対ユーロ、円でも下落。ポンドの焦点は来週22日の英中銀金融政策委員会(MPC)に移行しているようだ。英経済はファンダメンタルズ的に良い状況ではなく、本来必要な利上げは経済をさらに困難なものにする。そのため、英中銀はタカ派な声明を出すことができない可能性があるという。利上げ幅も0.50%ポイントが有力視されている状況。
英中銀が引き締め路線を継続することを市場に納得させるためには、タカ派な声明が必要で、それはポンドに有利に働く。しかし、その条件は厳しいままだという。例え、数多くのネガティブなニュースがすでに織り込まれていたとしても、短期的な調整以上のものは見られないと見ているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美