昨日、今日と開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)。今晩午前3時に結果、声明、参加メンバーによる経済見通し(SEP)が示され、午前3時半よりパウエルFRB議長の会見が実施される。
今回のFOMCでは、2020年3月のパンデミック対応以降続いてきたゼロ金利政策を終了し、0.25%の利上げに踏み切ることが確実視されている。
2月16日に発表された前回のFOMC(1月25日、26日開催分)の議事要旨を確認すると、物価上昇について、予想以上に長く続いているという危機感を共有していると、警戒感を強く示している。政策金利については、まもなく引き上げることが適切と、早期の利上げに言及した。今月2日に米下院金融サービス委員会で行われたパウエル議長による議会証言でも、今回の会合で利上げに踏み切る姿勢を表明。ウクライナ危機に伴う不確実性に注意しながらも、慎重に引き締めを実施する姿勢を強調している。
米物価高が著しく、直近2月の米消費者物価指数が前年比7.9%と約40年ぶりの高水準まで上昇するような状況を受けて、一時は0.50%の利上げがあるのではとの思惑が主流となる時期も見られたが、その後のウクライナへのロシアの軍事侵攻を受けた先行き不透明感もあり、今回は0.25%の利上げという見方でほぼ一致している。
注目は声明とパウエル議長による会見、さらに年4回発表されるFOMCメンバーによる経済見通し(SEP:Summary of Economic Projections)。声明や会見では次回以降の利上げに向けた姿勢が注目されるところ。議長は議会証言の中でインフレが高止まりするようだと大幅利上げの可能性があることを示唆した。こうした姿勢が強調されると、5月以降の大幅利上げに向けた期待感が強まり、ドル買いにつながると期待される。
SEPではインフレ見通し、金利見通しなどが注目されるところ。前回12月公表のSEPでは、2022年末時点でのインフレ見通しについて、PCEデフレータが2.6%(9月時点では2.2%)、コアPCEデフレータが2.7%(同2.3%)と見込んでいた。また、SEPの中で示されるFOMC各メンバーによる年末時点での政策金利水準をドットで示したドットプロットでは、0.75%-1.00%と、年内3回の利上げ見通しが10名と最も多く、それ以下が6名、それ以上が2名となった。これらの見通しは大きく上方修正される見込み。市場では政策金利について、年末時点で1.75%-2.00%が中央値となっている。これは今年残っているFOMC7回すべてで0.25%の利上げを実施した場合の水準となる。FOMCメンバーによる見通しの大幅修正で、こうした見通しがさらに強まり、大幅利上げの可能性が意識されるとドル買いに。ドル円は120円を意識する動きとなる可能性。
MINKABU PRESS 山岡和雅